クマバチについて
クマバチは黒くて大きな蜂で、ブーンと重低音の羽音を鳴らして飛び回ります。そのため、とても怖い蜂だという印象を受けますが、実はとても温厚でかわいらしい、危険性の少ない蜂です。では全く無害で駆除の必要が全くないのかと言うと、そうとも言い切れないところもあります。この記事では、クマバチの生態について説明するとともに、クマバチを駆除すべきかどうかについても検討します。
クマバチとは
クマバチの見分け方
クマバチは一部の地域ではクマンバチとも呼ばれます。ややこしいことに、スズメバチのことをクマンバチと呼ぶ地方もあります。そのためクマバチの黒くて大きい外見から、この両者を一緒にして勘違いしてしまうことがありますが、クマバチとスズメバチの危険性は段違いです。
スズメバチのような社会性を持つ蜂の個体には役割があります。スズメバチのメスは女王蜂と働き蜂に分かれており、働き蜂の役割は巣を確保し、兵隊のように巣を守ることです。働き蜂は巣に敵が近づいてくると、命を犠牲にしても戦わなければならない役割を持っています。巣に近づいてきたり、蜂を払おうと顔の前で手を振るだけで攻撃とみなすなど、スズメバチは凶暴というイメージがついています。
クマバチは単独行動を行い、直接的に自分の命や巣に危険が及ばない限り、ほとんど刺すことはありません。人間側からちょっかいを出さない限り、クマバチが襲ってくることはまずないでしょう。
蜂はホバリングをしながら人間につきまとってくることがあります。スズメバチやアシナガバチがホバリングをして人間のまわりを飛ぶときは威嚇を表しますが、クマバチの場合はメスを待っているだけです。繁殖期のクマバチのオスは、動くもの接近するものすべてを追跡して、メスかどうかをホバリングして確認します。
またクマバチは他の蜂を攻撃することもほとんどなく、同じクマバチ同士でも争わないという特徴を持ちます。巣作りをする際の縄張りを主張せず、近くに違う巣があってもあまり喧嘩はしません。そのため一箇所に巣が集中してしまうことも珍しくありません。
クマバチの特徴
ミツバチの体は真っ黒で胸にミツバチのようにフサフサとした鮮やかな黄色い毛が生えています。クマバチの体長は2センチメートルを超え、ミツバチの倍ほどの大きさがあります。
体型が丸くずんぐりとした形をしており、近づくと一目でわかります。クマをイメージさせるような体型や色や毛をしているので、クマバチと名付けられました。
日本中に分布しており、北海道から九州まで見ることができます。
クマバチの生態
スズメバチ、アシナガバチは肉食性で、他の昆虫を食べることがありますが、クマバチはミツバチと同じ仲間で、花の蜜や花粉を食べています。
クマバチを観測しやすい晩春から中秋にかけて、成虫になった個体は翌年の春に繁殖活動をします。春の繁殖期になると、オスのクマバチは縄張りを作ってホバリングをしながらメスが寄ってくるのを待ちます。人間にまとわりつくように見えるのは、オス個体がメス個体かどうかを確認している行動だとされています。
クマバチの攻撃性
クマバチは温厚な性格で、近づいただけで攻撃されるようなことはなく、自分から攻撃してくることはありません。
クマバチは大きな音を出して飛び、ホバリングしながら人間にまとわりつくような行動をとりますので、知らなければ大変怖く感じますが、この行動はオスが自分の縄張りにメスが入ってくるのを待っているもので、さらにオスには針がありません。
クマバチは温厚で自分から攻撃してこないとはいえ、自分自身や巣に対して直接攻撃されたとみなしたときは、刺される可能性があります。
毒性はあまり高くありませんがクマバチの針は太く刺された時の痛みは激しいです。
また毒性が高くなくても、アナフィラキシーショックから発作が出る可能性がありますので、過去に蜂に刺されたことがある人は気をつけた方が良いです。
クマバチの巣の特徴
一般的に蜂の巣というと、軒下などに樹皮や泥や蜜などを使って巣を作るイメージですが、クマバチは木材に穴を開けて巣を作ります。その巣作りの様子が大工のようなのでクマバチは英名では Carpenter Bee と言います。
クマバチは木や竹に長い穴を掘って巣を作ります。強い顎で木を削り、直径1.5センチメートル全長30センチメートル~40センチメートルほどの巣を作ります。そのためクマバチが好むのは、枯れ木や腐った木などの柔らかい材質の木です。既に出来ている巣を使いまわすことも珍しくありません。
そのため枯れ木や竹、枕木、建物の柱や垂木に1円玉サイズの穴が空いていたら、クマバチが巣を作っていると考えても良いでしょう。
クマバチの巣は一部屋ずつ区切られ、一つの巣穴に個室が並んでいる状態になります。クマバチのメスはこの個室一つ一つに卵を産んでいきます。巣穴の個室が足りなかった場合は、既存の巣穴をさらに掘り進めて行きます。
クマバチを駆除すべきでしょうか?
クマバチは大人しい性格の蜂で、人間を積極的に攻撃してくることはありません。大きな体で羽音をたてていても、怖がる必要はありません。
こちらから攻撃すれば刺してくることもありますし、刺されれば痛いですし、弱いとはいえ毒がありますが、過度に怖がる必要のない蜂であり、山にある木材に巣を作るだけならば被害が及ぶこともなく、放置しておいても問題はないでしょう。
しかし、家の近くにクマバチが飛んでいる回数が増えたら、クマバチの巣がないか確認した方が良いでしょう。クマバチは巣穴が小さいと巣穴をさらに掘り進めていくため、柱などにクマバチの巣ができた場合に、どんどん掘り進められて柱の強度が落ちてしまう可能性があります。
また、クマバチが巣を作るということは、そこはクマバチにとって良い環境の場所ということになります。クマバチは縄張り意識が低く、他のクマバチの巣も同じ場所に固まる傾向がありますので、一つクマバチの巣ができたということは、他にもあるということで、さらに柱の強度が下がってしまいます。さらに、その穴がシロアリの入り口となる可能性があります。これらの事が軒下なので発生すると厄介ですので、その場合は駆除を検討した方が良いでしょう。
クマバチを自分で駆除するには
駆除業者に依頼せずに自分でクマバチを駆除する場合は、まずは明るいうちに巣の位置を確認します。そして日没後2~3時間経ってから駆除を開始します。これはクマバチが昼行性であり、夜になると巣に帰ってくるためです。
服装は防護服を着用します。クマバチはおとなしい蜂とはいえ、あからさまに敵対的な行動をとると攻撃をしてきます。今回はまさにこの「あからさまな攻撃」に当たりますので、クマバチといえども攻撃をしてきます。ですから、体を守るための防護服や軍手が必要になります。
殺虫スプレーを蜂に直接吹きかけて駆除します。駆除の途中でスプレーが切れると、クマバチに反撃されて危険ですので、殺虫スプレーが途中で切れないように予備を用意しておきましょう。
蜂が死んだら30センチメートルほどの棒を用意して、巣穴から蜂の死骸をかき出します。蜂は死んでも針に毒が残りますので、ほうきとちりとりでゴミ袋に集めていきます。針が飛び出して刺されないように、ゴミ袋は何重にも重ねて使いましょう。そしてクマバチの巣穴は木工パテで塞ぎます。